ニコニコ太一通信
2020年10月
(2020.9.15)
コロナに加え、天候不順、各地で相次ぐ自然災害……と、今年は年初からいろいろな出来事に心乱れ、翻弄され、気がつけば、早や10月。カレンダーをめくる手を一瞬止め、暫し、そのことに驚きを隠せません。
平穏、平安な日々が早く取り戻せますように……、日本でも、世界でも……。格別の信心家でもない我が身にあっても、思わず、そう祈らずにはいられませんでした。
折りも折り、10月1日は中秋の名月。願わくば好天に恵まれ、お月さまの清らかな光を浴びながら、そんな心からの声を届けたいと思っています。
さて、いつも申し上げることですが、日々の健康づくりの要点は、体を調え、息を調え、心を調える、の三調にあります。サークルでやっている気功にしろ、太極拳、ヨーガにしろ、その大きな眼目は、この調身、調息、調心を日常的にコツコツ積み重ね、いつも「平安」な心持ちでいられるようにするためのものといえるでしょう。
秋の清々しい季節のなかで、そんな境地に半歩でも、一歩でも近づき、前に進めていくことができれば……、と願ってやみません。
引き続き、安全・安心に気を配りながら、みなさんご一緒に、練功を深めていきましょう。(⌒-⌒)ニコニコ
《10月のスケジュール》
・10月のスケジュールは、通例どおり、月曜日、木曜日各4回あります。心身をよりリフレッシュし、健康・元気でいるために、奮ってご参加ください!
<月曜日> 5日(A)、12日(B)、19日(A)、26日(B)
<木曜日> 1日(A)、 8日(B)、15日(A)、22日(B)
A選択科目:「やわらか気功」“フロア気功”もしくは“全身活性運動”
「元気気功」“ヨーガと季節功”
B選択科目:「やわらか気功」“峨眉伸展功”
「元気気功」“易筋経とお顔のリフレッシュ気功”
*10月29日は、木曜日第5週目にあたり休みとなります。ご注意ください。
念のため、開始時間は、次のとおりです。
「やわらか気功」 13:00~
「元気気功」 14:20~
「気功太極拳」 15:40~
ミニミニコラム from Michi & Sum
◎一点一画、「今」を大切にする気功、太極拳、ヨーガを!
前回、十三式太極拳について取り上げたところ、知人の方から、「楷書体に近い形で、一点一画を疎かにせず……細部にまで(心の)目をやりながら、とあるけど、具体的には、どういうことなんだろうか」と問合せがありました。
足を開く、たったそれだけの動作でも……
そこで、最初の動作、予備式から起勢に移るところを例に、いま私たちのサークルでやっているやり方を、参考までにご紹介してみたいと思います。
まず、
①正面北を向いて、足は踵をつけ、逆八の字(直角)に、両手を体側に緩めて下ろし、立ちます
このとき大切なことは、心と体の緊張を解き、全身を大地にあずけ、背筋をまっすぐに。顎は引き気味に、頭頂(百会)を上に、視線を穏やかにして、尾骶骨を緩め、背骨をリラックスさせ、心をのびやかに寛がせることです。
その後、左足を左に出して、脚を開くわけですが、そのやり方を細分化してみると、おおむね次のようになります。
②両膝を緩め、膝が足の爪先方向へと動き、頭を残し気味にして、尾骨を緩め下ろし、背筋が緩やかに伸ばされ(気感が生じ)るのを感じる。両手は大腿前側へと寄る
③背骨を軸に、体幹(臍)を左45度に回し、右足踵が浮き、右足が正面まっすぐに向く。両手は股間側へ移る
④右足踵を着地、左足踵が少し浮く
⑤背骨を軸に、体幹(臍)を正面に切り戻す。両手の母指側が近づく
⑥さらに背骨を軸に体幹(臍)を右45度に回し、左足は踵がさらに浮いて膝先とともに正面方向を向く
⑦体幹(臍)を正面へと切り戻し、腰を緩め沈めると、膝はさらに緩み、手が少し浮き、両肘が外にやや広がり両手は臍下丹田へ
⑧右足裏に体重を載せ、左足を横に開き、手が臍の下の体側横へ移動
⑨左足踵を着地し、尾骨を下に緩め下ろし、両手も沈む
⑩両足踵を意念で大地へと圧しつけると、両手が自然に浮かび上がり、手の甲が胸の位置へと運ばれる(指先は垂れる)
⑪肘を緩め下ろし、膝を緩め、両手が胸前に近づき、下へとくだり、(頭は残すようにして)臀部を緩め下ろす
⑫そのまま両手手根を意念で圧して按をし、背筋が気持ちよく伸び、気感が生じるのを感じる
⑬背骨を軸に、体幹(臍)を左45度方向に回し、つれて、左足先は少し浮いて左足踵を支点に胴体に随いて回り、両手はやや広がり、肘は外へ少し張り出す。手首の母指側がやや締まり、気感を感じる
⑭右手を45度方向に沿って前へ出し、左手は左肘とともに少し後ろへ
⑮左足裏を着地し、今度は、背骨を軸とし体幹(臍)を、右方向へと切り返し(無理せず)いけるところまで旋回する
⑯臍が右方向を向いた辺りで、両腕を弧形にして丸め、球を抱くようにして、右手を返して、気を掬うようにし
⑰腰を切り戻して、左足に体重を載せ、右足踵を浮かして足先を左足横へ寄せ、腰を緩め下ろし、左体側でボールを抱える
という具合に、立った姿勢からただ足を横に開くという比較的簡単に見える動作でも、これぐらいの細かなステップを踏んで、心と体の内をよく眺め、観察し、味わいながらやっていくことになります。
そして、この太極拳では、同様にして、順次、それ以降の各式を紡いでいきます。
動作の留意点は……
ついでながら、その際、特に注意すべきポイントとなるのは、
・心を鎮める
・体幹(腰)を重視して、体幹で導くように動く
ちなみに体幹を右に左に旋回することは、腰部にある腎臓、副腎に働きかけ、その機能の活性化に役立つことが期待されます。詳しくは、以下のコラムの「副腎と腎のある部位に着目して、体を動かそう!」の箇所を参考にしていただければと思います。
・緩めて伸ばす
無用な力(拙力)を避け、体を緩め伸ばすことの重要性は、以下に書いていますので、こちらをご覧ください。
・呼吸と動作を合わせる
・動きを柔らかくし、弧形の線の流れを感じる
・チャクラを意識する
・気の流れを感得する
といったことです。
当然、こうして一つひとつの細部を観ながらやっていくと、とてもではないですが、適当にパッパッと動くいう具合にはなかなかいきません。
ゆっくり、ゆっくり、心、息、体を調和、協調させながら、ていねいに動きをつないでいくことが大切になります。
とはいえ、このことはとても一朝一夕にはできることではありません。
心を鎮めること一つとっても、そんなに簡単なことではないように思います。とくに現代のように、慌ただしく、いろいろな刺激に満ち溢れ、ストレスフルで落ち着かない世の中にあっては、なおさらでしょう。
コツコツ、地道にやはり日々、煉功を重ねる以外にはないと思います。
それも、けっして無理せず、楽しみながら……。できる範囲で、ゆっくりと……。慌てることは何もありません。
スピードを競っているわけでも、アクロバティックな動きを追い求めているわけではないでしょうから。
そうして、ゆっくり、ゆっくりと、ただただ心と息と体を眺め、味わいながら動くことを積み重ねていく。そうすると、心もやがて落ち着きを取り戻し、安定し、「平安」な境地へと誘われていくのではないでしょうか。
ブッダも推奨……
というのも、このやり方というのは、オシャカサマが推奨されている方法でもあるからです。
8月の「ニコニコ太一通信」のなかで、ヴィパーサナー瞑想について少し触れました。
このヴィパーサナー瞑想の方法とこの太極拳のやり方というのは、実によく似ているように思います。簡単な動作の連続を、ただ、今、この瞬間、この瞬間と、あるがままに眺め、体と心のありようを観ながら続ける。そのことで、ああだ、こうだ、ああでもない、こうでもない……と、ややもすれば様々に乱れ、揺れ動く余計な思考や感情に囚われることから自由になる。すると、その分、こり固まり、疲れた私たちの脳が安らぎ、心が落ち着きへと向かい、物事の奥にある本質に気づく。そんな可能性が開かれる、ということではないでしょうか……。
こうして心が休まってくると、息も、体も、だんだんと整い、調和していくことが大いに期待できるわけです。
* * *
以上、いまやっている太極拳を例に、拙い説明をあえて試みましたが、このことは、伸展功や易筋経といった気功、あるいは太陽礼拝や月のヨーガなどでも、同じことがいえるのではないかと思います。
一点一画、「今」を大切に、心身をよく眺め、見つめ、観察し、味わいながら、ともに、少しずつでも功を深めていくことができれば、本当にうれしいことです! (⌒-⌒)ニコニコ
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――2020年1月峨眉珍蔵少林達磨易筋経の特別講座より
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