ひとつながりの心と体
心って、変えられるの? そう、変えられるんです!
人間はなぜ治るのか
体や呼吸からアプローチする方法があるじゃないか
整体という仕事を始めて、それこそ痛いほど感じさせられたのは、人間の心がもつ“奥深さ”です。
筋肉を調整し、骨格のバランスを整え、内気の流通を促進し、幸い、つらい症状がある程度改善しても、心そのものが変化しなければ、改善は一時的なものとなり、永続してくれません。
心が変わる必要があるのです。
それは、果たして可能でしょうか?
この重たいテーマに、一つのヒントを与えてくれる学びがありました。たまたまある雑誌を読んでいたところ、次のような内容の記事にでくわしました(『経営者会報』2008年10月号)。それは十数年前にNHKの教育テレビで放映された「人間はなぜ治るのか」というドキュメンタリー番組についてのものです。この番組では、医者から匙を投げられた末期癌患者の0.1~0.2%の人が自然に治ってしまう事実のあることを知った番組のディレクターが、そういう末期癌からの生還者何百人にかに取材して、そこで癌が自然に小さくなったのは、単なる偶然や幸運ではなくて、本人の心の転換が大きな力になっていることを知るのです。
どういうことかというと、怒りや絶望といった否定的な感情は免疫力を低下させるけれども、それを愛や感謝などの肯定的感情にスイッチすると免疫力が上がり、本人の自然治癒力が発揮される、というわけです。
では、スイッチはどうすればできるのか――。プラス思考をもて、とは今盛んにいわれることですが、でも、そのことがけっして簡単なことではないことは私たち自身よく体験していることだと思います。
実は、この番組を制作したディレクター氏も、自分自身癌を患っていて、医者からはそんなに長くは生きられないといわれていました。
そこで彼も、従来の仕事一辺倒のかなり無茶な生活スタイルを変更し、生活習慣を正し、食事も玄米菜食に切り替えたそうです。でも、それだけではなかなか心を変えるというところまではいかないので、頭を丸めて滝にうたれようかとも考えたそうです。
しかし、そんな彼に予期せぬ変化が起こります。
生活の仕振りを変えてから数週間ほどした頃のこと、気分が明るくなって、元気になっている自分に気づいたそうです。早寝早起き、スポーツ、快眠で体調がよくなり、心まですっかり明るくなり、その後自身の癌の再発・転移の可能性も消えたというのです!
何がいいたいのかというと、心を変えるには、直接心からアプローチしなくても、筆者の堀田宗路さんも指摘しているように食事に気をつけるとか、体を動かすとか、ちょっとしたことがきっかけで変わる可能性があるということです。
心と体はつながっているのですから、心を変えようと思えば、体や呼吸からアプローチしてもいいわけです。なるほど、そうか! 気功がもつ方法論が、心のありようもきっと変えてくれるに違いない!
そう確信したのです。